勤務社労士とは、全国社労士連合会に登録し、社労士会に所属し、企業内で働いている社労士をいいます。

例外的に、法人社労士として登録されている企業で働いている、社労士会に所属している社員の場合は、勤務社労士ではなく、個人事業主に分類されます。

そこで、今回は企業内で社労士が勤務社労士として働く魅力やメリットについて解説しましょう。

 

勤務社労士になるための登録の具体的な流れ

まず、社労士に合格すると、合格証書と一緒に、社労士会の入会手続き方法の案内書類や、労働社会諸法令事務指定講習の案内などが郵送されてきます。

 

必要な手続き書類

・社会保険労務士登録申請書 (正本1枚:全国社労士連合会用、副本2枚:管轄の社労士会用と自分の控え、合計3枚複写)

・労働社会保険諸法令関係事務従事期間証明書
(合格の前後を問わず通算して2年以上労働社会保険諸法令に関する事務に従事した事についての事業主の証明、あるいは連合会が主催する事務指定講習修了証書の写し)

・社会保険労務士試験合格証書の写し

・住民票1通 (3カ月以内のもの、マイナンバーの記載がないもの)

・顔写真1枚 (タテ3cm×ヨコ2.5cm、カラーまたは白黒、裏面に氏名記入、写真票に貼付のこと)

・戸籍抄本1通(3カ月以内のもの、マイナンバーの記載がないもの。

一身上の都合で、登録申請時の氏名が、合格証・従事期間証明書・事務指定講習修了書と姓が異なっている場合のみ必要)

 

登録に必要な費用

社労士の免許を取得するには、登録するだけで10万近い費用がかかります。

・全国社労士連合会に、登録免許税と手続きの登録料が30,000円ずつ、合計60,000万円

(社労士の登録番号記入の写真付社労士証を発行)

・働いている企業の住所の管轄の社労士会に所属するために、入会金と月会費支払後、社労士会会員証付与

(入会金と月会費は、都道府県によって異なる)

・その他社労士(社労士の資格を使って働いていない)は住所管轄社労士会に所属。

※注意)全国社労士連合会の手続きの窓口も管轄都道府県の社労士会が行っていますので、免許登録手続きと社労士会の入会手続きは同時に行われます。

 

社労士会の名簿に掲載

名簿改定の時期に間に合わない場合は次回名簿改訂時から記載。

社労士バッチは任意購入です。

勤務社労士として働く1番の魅力・メリットは?

社労士の1番の魅力

社労士法人や個人事業主の社労士として大成功を収めている人は一握りの恵まれた能力のある人に過ぎず、多くの社労士は、地位も年収も不安定なのです。

それに比べて勤務社労士は、この不景気なご時世でも、下記のようなサラリーマンであることの地位の安定が何よりの魅力でしょう。

・給料や賞与がきちんともらえて、年収が安定している。

・一般的に定年退職まで働けば退職金の支給あり。

・雇用保険・社会保険(組合健保含む)・労災に加入し、これらの保険事由により給付あり。

・賠償責任を一人で背負うようなことがない。最終責任は会社。

・会社によっては、社労士の資格手当の支給があり。

・「社労士資格者」の存在を重要視している企業では、リストラ対象になりにくい。

次に、勤務社労士として登録した方が会社の業務として、メリットが大きい企業と、勤務社労士にならなくても資格取得だけで十分な企業があります。

資格だけで十分な企業でも、勤務社労士となって常に勉強している人も多いようです。

 

会社内に社員として「勤務社労士」いることがメリットとなる企業

勤務社労士を必要としている企業をいくつか紹介しましょう。

これらの会社においては、社労士と名乗ることのできる社員が社内にいることにメリットがある企業の場合が多いです。

・保険会社(損害保険は社労士のサインが保険証に必要)

・労働基準監督署などの公務員(個別労働紛争に関わる部門)

・税理士法人(社労士法人に登録していない社労士部門のある税理士法人)

・法人登録していない比較的大きな社労士事務所の社員

 

社労士の資格があれば十分(あえて勤務社労士でなくても良い)な企業

多くの企業は、社労士の資格がなくても、実務重視であることの方が重要なのです。

しかし、それらの企業も、1号・2号業務が多く、3号業務も含め、労働基準法に詳しい社員がいれば業務が何倍もスムーズに回ります。

いくつか企業や職種の例をご紹介しましょう。

  • 福祉関係の企業(資格者優遇:とくに国の補助金の申請に詳しい社員がいれば有利)
  • 協会けんぽや組合健保(資格者優遇)
  • 多くの企業の人事・総務・経理の社員(資格者優遇)

 

上記の企業は、資格を持っているだけで優遇されますが、社労士の資格手当が出るとは限りません。

それなのに、社労士の資格を持った社員が、どうしてわざわざ自腹を切ってまで勤務社労士になるのでしょう。

それは、下記のようなメリットがあるからです。

 

  • 常に最新情報を得られる。
  • 異業種交流(社労士・弁護士・税理士・司法書士・行政書士など業務の重なりやすい士業同士の交流会)に参加できる。
  • 個々の苦手業務についての勉強会やさまざまな講習に参加できる。

 

このように勤務社労士でいることで、社労士としての知識を深めるだけでなく、さまざまな人脈もできます。

その努力と経験から得た知識が、社内業務で優れた能力と評価され、昇進や昇級に繋がる可能性も期待できるからです。

 

勤務社労士の年収はどのくらいが期待できる?

筆者も過去に社労士の求人を転職エージェントで探したことがあります。

個人的な感想ですが、社労士法人や税理士法人や総合法律事務所などの年収は、世帯平均年収よりもやや多く、550万~600万円の年収を提示しているケースが多かったように思います。

時期によっては残業が日以上に多いようで、残業代でもっと多くの年収が期待できそうでした。

ただし、注意してください。

同じ勤務社労士でも、社労士法人の社員である社労士は、勤務社労士でなく、社労士会では、個人授業主として分類されます。

社労士の月会費が、勤務社労士の約2倍に跳ね上がりますので、そのことを忘れないでくださいね。

余談ですが、税理士法人の社員である社労士は、勤務社労士に分類されます。法人である士業の社労士が全て社労士会で個人事業主に分類されるわけではありません。

 

それに対して、企業内の勤務社労士だと、企業の人事・総務・経理部門の一般社員として、年収は企業の大きさによって異なります。

ちなみに、昨年の世帯年収の平均は、平成28年版(2016年版)の厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」によると、546万円です。

社労士法人・税理士法人などの平均年収よりもやや少なめですし、法人社労士として大成功を収めた法人事業主である社労士に比べると、圧倒的に少ないです。

しかし、不景気なこのご時世でも、勤務社労士は、サラリーマンとして安定した収入が期待できます。

社労士として知識に優れた社員は、いくら不景気になってもリストラ候補にあがる心配はありません。

さらに、年収が少なめでも、社内の福利厚生の恩恵によって、家族の娯楽費を助けてくれるというメリットもあります。

 

高年収の勤務社労士の求人はどのように探せばいい?

転職の際の求人探しは、何といっても転職に頼むのがお勧めです。

転職エージェントは、年収の高い非公開求人というのをたくさん持っています。

社労士の資格を持っている人が優遇される企業は、前の項であげたように、けっこうたくさんあるからです。

の業種で、比較的大手の企業が、社労士を募集してることもあります。

コンサルタント業務のクライアント数が多ければ、社労士のクライアントの数も比例して増加しますので、比較的年収の高いケースが多いようです。

また、大手経営コンサルタントの社労士はもちろん、社労士法人や税理士法人、総合法律事務所も、「社労士」と名乗ることが必要となるので、資格手当や月会費を会社で持ってくれるケースも多いようです。

これらの企業は即戦力を求めていますので、多少経費がかかっても転職エージェントを使うことが多いのです。即戦力の分、年収はけっこう高めです。

また、大企業の人事・総務や経理は、実務に精通している上に、プラスαとして労働法に詳しい社労士の資格保持者の知識を求めています。

しかし、資格だけで良いといっても、社労士の知識に精通するには、常に勉強が必要です。

社労士会に所属していると、異業種交流や勉強会の案内が来ることが多いので、人脈づくりや知識を深めるのに有利です。

だから、勤務社労士であることは、転職エージェントの非公開求人に対し、十分な優遇材料になります。

このように、勤務社労士が活躍できる企業は、非公開求人にあることを知ることで、更なるスキルアップの転職を考えてみるのも魅力的な人生の選択のひとつかもしれませんね。