「社労士の資格があれば仕事に困ることはないか?」

という質問を若い人からよく聞かれます。

これは社労士に限らず、何の資格についてもそうでしょう。

ですが、これに関しては、「人それぞれです」としかお答えできません。

成功している人は大きな収入を得ていますが、その反面、廃業する人も多数いるからです。

この記事では、「資格を武器に食っていく」ということについて、検証しましょう。

 

「食っていけない資格」というものはない

そもそも、筆者は「食っていけない資格」というものはないと思っています。

資格は、それを持っている人の使い方次第だと思っています。

まず、「食えるか」「食えないか」で資格を取得する人は、食えなくなっていくのではないかと思います。

資格というものは、その仕事をしたくて取得するか、その資格を取得することによって自分のスキルを高めたいと思うような、ポジティブな気持ちで取得するものです。

ただ資格を持っていれば黙っていても大きく儲けることができるのは、医師免許か国家公務員の検事か裁判官くらいではないかと筆者は思っています。

弁護士でさえ、食っていけないご時世です。食っていくためには、工夫が必要です。

資格を利用した仕事に対して、愛がない限り、その資格を利用した仕事を思いつかないでしょう。

「資格で食っていく」というのは、起業するのですから、他人と同じ方法では、食っていけなくなるのは当然です。食えない時代を這い上がる気迫と根性は、「この仕事を続けたい」という仕事に対する愛がないと難しいでしょう。

資格は、仕事をしやすくするために利用するものであり、食っていけるかいけないかは、その資格をどのように利用するか、資格の所持者のアイデア次第だと筆者は思うのです。

 

資金繰りに困っていない社労士事務所・法人社労士の特徴

大きな社労士事務所や儲けている法人社労士の特徴は、1号業務や2号業務よりも『3号業務』に力を入れています。

例えば、私が知っている社労士法人では、労務管理のために心理テストを利用しています。

入社試験でやった心理テストと、数年経って同じ心理テストをやったときにモチベーションや仕事に対する考え方がどう変わったかを比較分析することもできるのです。

上司の主観が入りやすい人事評価ではなく、コミュニケーション能力・指導力・判断力・アイデア力などを心理テストで数字によって評価した方が客観的で、社員の隠れた才能を引き出す手段にもなる、ということで大企業からの評価が高いのです。

 

講演や書籍出版で稼ぐ社労士や合同事務所を経営する社労士

また、講演をしたり、書籍を出版したりしている社労士もいます。

司法書士・税理士・社労士の合同事務所で、建築会社・不動産会社を中心にして、トータルコーディネートをしている社労士もいます。

この合同事務所は、法人ではないけれど、総合法律事務所として大きな利益を上げています。

ただし、この会社の代表は、企業の人事向けの講習や著書などで、著名人だから、この社労士事務所の心理テストで、大きな利益を上げられるのだと思っています。

FPや保険代理店や司法書士や税理士の合同事務所を経営している人もいます。

自分でダブルライセンスを取得している人、複数の資格者が一緒に経営している人、さまざまです。

これらの社労士事務所の所長に共通している事は、社労士の資格を活かすために社労士の必要性を説得できるだけの別の何かを持っているということです。

 

営業力がない社労士は難関資格を多数持つのも営業の手段のひとつ

ダブルライセンスをとるなら、他人と差別化できる資格が有利です。

例えばFP資格なら、2級ではなく『1級』、CFPを取ることが差別化につながります。

 

10歳くらい若く見える童顔の筆者は、しかも雰囲気的におっとりふんわりタイプで、そのイメージが仕事の邪魔をし、「お嬢ちゃん」と呼ばれる始末です。

 

悔しすぎて、信頼を得るために考えた方法が、無謀にも旧司法試験へのチャレンジでした。

 

筆者の顔で信頼を勝ち取るには、司法試験くらい取得しないと無理だと思ったのです。

しかも、新司法試験との入れ替わりの時期で、旧司法試験の合格率がなんと8%位だったかと?

時代が味方したのか、運良くひっかかり合格できた途端、「旧司法試験合格」は黄門様の印籠のように、筆者の頼りないイメージを一気に吹き飛ばしてくれました。

他にも、秘書検1級、英検1級、インテリアコーディネーター、社労士取得の後に、FP1級、特定社労士、旧司法試験合格、心理カウンセラー、これだけ資格を持っていると、社労士以外の仕事でも十分に利益が上がります。

あとは、どういうわけか、今まで仕事の邪魔をしていた筆者の外見が、話しやすさや取っつきやすさとなり、功を奏するようになりました。

不思議なものです。

FPの資格や心理カウンセラーの資格、商社の副社長秘書の経験も役立ちました。

筆者は、このように社労士以外の資格で興味を引き、社労士としての信頼を集めていき、最終的には16社と顧問契約をしていました。

 

社労士資格は仕事の道具にすぎない!

「社労士の資格を取得するだけではご飯を食べていくことはできないの?」と思ったあなた!

「社労士資格があれば食べていける」

「これだけでは食べていくのは難しい」

という、考え方自体が間違っています。

 

社労士資格は仕事の道具にすぎないということを忘れないでください。

 

もしも料理人が料理するときに、包丁の切れが悪いなら、包丁を研ぐでしょう?

料理人の武器は、調理師免許ではなく、料理の腕です。

料理の腕を振るうための道具である包丁を研ぐことは毎日の日課であるはずです。

これは、腕を振るいやすいような環境を整えているに過ぎません。

 

社労士資格だって同じです。

社労士資格を活かすためには、その資格が活かせる仕事をしやすい環境を整えてあげる必要があります。

その手段が、ダブルライセンスだったり、講演や著書だったり、他の士業の力を借りる、など人それぞれなのです。

起業するなら、人と同じ事をしているのでは、「食えない」ので、頭をひねって、アイデアを出し尽くさないといけません。資格にあぐらをかいていても資格は何もしてくれないのです。

食える社労士は、独自の方法で、クライアントの興味を引く事から始めます。

それは社労士として自分のやりたい仕事をするために、資格を活かす環境作りをしているのです。